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あとがき
巽 浩一郎
pp.1044
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206055
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呼吸器系の恒常性は上皮細胞,内皮細胞,間葉系細胞などの「つながり(ネットワーク)」で構成されており,病態では炎症細胞/免疫担当細胞が新たに関与してくる.病気は,何らかの遺伝的素因(生殖細胞変化/体細胞変化)の上に障害が加わり発症する.一つの遺伝子異常だけでは,すべては語れない.一つの遺伝子は局所環境(ニッチ)により異なる方向に作用する場合もある.一筋縄ではいきそうもない.呼吸器系を含む生体は「つながり」で機能を発揮している.サイエンス,すなわち必然性の積み重ねだけでは説明のできない何かが起こる.Micro-RNAなどのエピジェネティクスによる制御が重なる.本特集号を拝読すると,呼吸器系を舞台とする種々の病態群で,その発症/進展に関与する分子病態がなんとバラエティに富んでいるかが理解できる.10年くらいの医学の歴史をみても,ある分子が注目されたと思っていたら,次には全く別の観点からの分子が出現する.医学には永遠のロマンがある.
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