Japanese
English
特集 気道におけるニューロペプタイドの役割
肺とニューロペプタイド
Lung and Neuropeptides
北村 諭
1
Satoshi Kitamura
1
1自治医科大学呼吸器内科学教室
1Department of Pulmonary Medicine, Jichi Medical School
pp.477-482
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205467
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
著者が最初に"肺の代謝機能"に関心を持ったのは,今から約20年前の昭和42年のことであった。当時,著者は原澤道美博士(東京大学名誉教授,現東京逓信病院長)のご指導により"肺および胸管リンパ循環の調節機構にかんする研究"というユニークなテーマで学位論文を仕上げた後に,医局から杉並区にある浴風会病院に派遣されていた。著者は30人の入院患者を受け持ちながら,老人の肺機能とくにKyphosisの影響などについて臨床研究を行うことになった。
当然のことであるが,老人病院のため死亡者が多く,1カ月間に平均7〜8例の剖検がある。剖検には受持医も加わり手伝わせていただくので,著者も2年間で70例ほどの剖検をした。平均年齢70歳ということで,老人性の変化が強く,特に腹部大動脈が2分岐する大腿動脈分岐部付近は動脈硬化が非常に強く,著明な石灰化があり,メスで切り開いていくと,刃が欠けるほどであった。6〜7例このような症例が続いた後に,1例,まったく動脈硬化がなく,動脈は40歳代を思わせる症例があった。そのうちにまた1例と同様な症例があり,1年が過ぎた時点で6〜7例になっていた。そこで不思議に思い病歴室へ行き,これらの症例の病歴を調べてみた。これらの症例に共通していることは,40〜50年前に肺結核に罹患して治癒し,陳旧性肺結核病巣があることであった。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.