Japanese
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綜説
血小板活性因子(PAF)の血圧ならびに末梢,冠,腎血管系に対する作用
Effect of platelet-activating factor (PAF) on blood pressure, peripheral, coronary and renovascularsystem
川口 秀明
1
,
高野 英行
1
,
安田 寿一
1
Hideaki Kawaguchi
1
,
Hideyuki Takano
1
,
Hisakazu Yasuda
1
1北海道大学医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Hokkaido University, School of Medicine
pp.819-825
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205299
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リン脂質は,細胞膜を構成する重要な要素であって生体膜の構築とその機能の調節という観点から幅広く研究されている。そして近年,ある種のリン脂質それ自身に特殊な生物活性作用のあることがわかってきた。なかでも炎症の化学伝達物質の一つとしてリン脂質の一種である血小板活性因子(PAF)が注目を集めている。それは1972年,IgE感作ウサギ好塩基球より抗原刺激により放出され,血小板を活性化する液性因子として発見され.1979年に構造が決定され,図1に示すごとく長鎖のアルコール基をグリセロール部1位に,アセチル基を2位に有する一種のコリンリン脂質であることが判明した1〜3)。またこれとは独立した研究により,腎臓髄質細胞から強力な降圧作用を有する脂質が1960年代に発見され,PAFと同一構造の物質であることが明らかになった。PAFは現在のところ微量で次のような多彩な生理作用を示すことが明らかとなっている。すなわち血小板活性化血圧下降作用,平滑筋収縮好中球活性化血管透過性亢進、肝臓におけるグリコーゲン分解促進作用などである。
PAFはその後いろいろな刺激に応じて各種動物の好中球.好酸球,血小板,マクロファージ,血管内皮細胞.マスト細胞などからも産生されることが明らかになってきた。
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