Japanese
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特集 注目の実験モデル動物
悪性心筋疾患動物
Model animal of malignant myocardinal disease
川口 秀明
1
,
安田 寿一
1
Hideaki Kawaguchi
1
,
Hisakazu Yasuda
1
1北海道大学医学部循環器内科
pp.560-565
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900147
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心筋疾患のうちで特発性心筋症とは原因不明の心筋疾患をいい1),その中でも主要な位置を占める疾患であり,肥大型心筋症と拡張型心筋症の二つに大別することができる。今日までのところ前者については常染色体優性遺伝,後者については免疫,ウイルス性心筋炎,心筋代謝異常などの機序が関与すると考えられている。しかし,心筋症の発症要因に関する検討は,生体では心臓バイオプシーによるほかに心臓そのものの資料が得難いために,きわめて困難であった。少数ながら移植心臓を用いて検討された成績もあるが,これら移植心は心不全の末期像を呈し,かついろいろな薬物が投与されているために複雑となりその発症要因を推察するのは,容易ではない。そこで,それらを補うために心筋症ハムスターBio14.6,Bio 53.58,およびUMX7,または心筋症ダチョウなどの心筋症モデルとして確立された動物を使った研究が行われてきた。
本稿では常染色体劣性の遺伝形式を持つ心筋症ハムスターの一般状態,病理組織像を紹介し,心筋における代謝異常を細胞膜情報伝達系を中心に,ヒト心筋症とモデル動物との相同性と,心筋症発症にかかわる因子について述べる。
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