先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
腫瘍マーカー
AFP
寺島 芳輝
1
,
木村 英三
1
,
村江 正始
1
Yoshiteru Terashima
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.497-499
発行日 1986年7月10日
Published Date 1986/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207414
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個体発生の過程で発現される遺伝子が,正常の成体では発現されないで腫瘍において発現されることがあり,これらの遺伝子産物はoncodevelop—mental gene productsと総称されるが,alphafeto—protein (AFP)はその代表的物質であろう。AFPは1956年にBergstrandら1)により発見され,1962年Abelevら2)により肝癌における産生が報告されて以来,腫瘍マーカーとしての重要性に関する研究が多数発表されている。
胎生期におけるAFPの産生は主にyolk sacで行われているが,のちに胎児肝が主体となり,消化管もわずかではあるがAFP産生に関与している3)。AFPの生理的意義についてはキャリア蛋白説4),免疫抑制物質説5)などがあり,その詳細はいまだ明らかになっていないが最近の知見を中心に解説したい。
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