増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
腫瘍マーカー
消化器系
AFP,AFP-L3分画
佐藤 雅哉
1
,
池田 均
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学
pp.466-468
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223349
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
検査の概要
厚生労働省診療ガイドライン支援事業によりまとめられた「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」1)では,B型慢性肝炎,C型慢性肝炎,肝硬変のいずれかを肝癌の高危険群,そのなかでもB型肝硬変,C型肝硬変患者は超危険群と設定し,肝癌サーベイランスの対象としている.このサーベイランスの基本となるのが肝腫瘍マーカーと画像検索であり,危険群に対しては6カ月ごと,超危険群に対しては3〜4カ月ごとの腫瘍マーカーの測定が推奨されており,特に肥満や肝萎縮などで腹部エコーでのスクリーニングが困難な症例においての有用性が報告されている2).
肝癌における代表的な腫瘍マーカーであるAFP(α-fetoprotein)は肝癌患者において上昇することが知られているが,問題点として急性肝炎や慢性肝炎,肝硬変で,肝細胞の壊死が強い時にも上昇し,特異性に欠けることが挙げられる.そこで,特にAFPが軽度高値であった場合には特異度を向上させる目的でAFP分画の測定が有用である.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.