特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
消化器系
AFP,AFP-L3分画
松岡 俊一
1
,
楡井 和重
1
,
森山 光彦
1
1日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野
pp.512-514
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104827
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
α-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)は分子量70,000,590アミノ酸からなる糖蛋白で,胎生期に肝臓や卵黄囊から産生される.胎生期にアルブミンと類似した機能をし,1歳以降は生体内でほとんど産生されなくなるが,癌化(肝細胞癌など)などによって蛋白産生調節が幼若化をきたすと再び産生されると考えられている.肝細胞癌でのAFP陽性率は62%と報告されている1).わが国の肝癌診療ガイドライン2005年での肝細胞癌サーベイランスアルゴリズムにはウイルス性肝硬変などの高リスク群に対して画像検査およびAFPなどの腫瘍マーカーの測定によって肝細胞癌をサーベイランスすることを推奨している2).
急性肝炎(肝不全)および慢性肝炎,肝硬変でも上昇することがあり,特に慢性ウイルス性肝疾患でのAFP経過観察では注意を要するが,上昇したAFPが自然に低下する場合には肝臓の炎症に伴う良性の変化であることが多い.肝細胞癌はレンズマメレクチンに親和性を有する分画の増加を認め,これをL3分画と表現して,良性肝疾患由来AFP陽性例と判別する3).
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.