Japanese
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解説
位相反応曲線による呼吸中枢オシレーターの解析
An analysis of the central respiratory oscillator by phase response curve
小松 明
1
,
北野 慎一郎
2
Akira Komatsu
1
,
Shin-ichiro Kitano
2
1東京女子医科大学第一生理
2東京女子医科大学麻酔科
1Department of Physiology, Tokyo Women's Medical College
2Department of Anesthesiology, Tokyo Women's Medical College
pp.615-622
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204881
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はじめに
呼吸,歩行,飛翔といった周期性運動の発現には感覚性フィードバックは必要なく,中枢自体に周期的な運動パターンを形成する神経機構が備わっていると考えられている。周期性運動のリズムを形成する機構を一般に神経オシレーターと呼んでいる。無脊椎動物では同定可能なニューロンからなるネットワークを電気生理学的な方法で解析することによって,神経オシレーターのニューロン機構がすでにいくつかの材料で明らかにされている1)。しかし脊椎動物ではオシレーターが膨大な数のニューロンから構成されており,無脊椎動物で用いられた方法は利用できない。
位相反応曲線(phase response curve,PRC)は,Pittendrigh2)がショウジョウバエの羽化リズムの解析にはじめて導入し,概日リズムの研究に広く使われている。その数学的性質はPavlidis3),Winfree4),Kawato5)によって調べられ,生理学ではHodgkin-Huxley方程式の性質の解明や6),心筋の拍動リズムの解析7,8)などに応用されている。位相反応曲線はオシレーターの実体が不明なときにその系の性質を記述したり,その系の内部構造を推定したりするのに用いることができる。ここでは位相反応曲線の考え方を簡単に説明した後,哺乳類の呼吸運動リズムの解析に応用した結果を示す。
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