Japanese
English
Bedside Teaching
肺の聴診所見と病態
Pathophysiological Bases of Lung Auscultation
毛利 昌史
1
,
大野 真理子
1
,
井口 万里
1
,
小池 繁夫
1
Masashi Mori
1
,
Mariko Ohono
1
,
Mari Iguchi
1
,
Sigeo Koike
1
1東大病院第二内科
1The second Department of Internal Medicine, University of Tokyo
pp.631-635
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204883
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はじめに
肺野の聴診は理学的診断法の基本であるが,聴診を最大限に生かすには,病歴,視診,および触診所見から,その患者で聴取する可能性がある,いくつかの肺音所見を予測し,その有無を確かめようとする態度が必要である。ベッドサイドで同じように診察をしても,患者から得る情報量が医師により大きく異なる理由は,1)経験や知識の差,および,2)観察力や注意力など,先天的な能力差以外に,3)特定の疾患なり,所見なりをあらかじめ予測し,意識的にその有無を確かめようとすることができるかどうか,にある場合が多い。心雑音の聴診でも同様であるが,なんとはなしに聴診器を当てて聞くのと,この症例ではこのような異常肺音があるかもしれないと思って聞くのとでは,同じ聴診でも内容的に天と地の差がある。本稿の主題はベッドサイドでの肺野聴診の実際と,正常呼吸音と異常肺音の分類であるが,最初に肺聴診の歴史についても,簡単に触れておく。
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