マスターしよう基本操作A
位相差顕微鏡の使い方
磯辺 雄二
1
,
嶋田 裕
2
1千葉大学医学部解剖学教室
2千葉大学解剖学
pp.357-364
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202483
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位相差顕微鏡は,対象物と媒質との光学的厚さ(屈折率と厚さの積)の差を明暗のコントラストに変えることによって,色あるいは明暗のない対象物の観察を行うことができるようにした装置である.したがって位相差顕微鏡を用いることにより,ほとんど透明な生きた細胞,細胞内の構造,微生物や結晶などに染色をほどこすことなく,そのままの状態で観察することができるのである.この特徴を生かして,臨床検査の分野では血液検査のほか,尿沈渣,微生物や虫卵の検査,培養細胞の観察など,広い範囲で位相差顕微鏡が用いられている.
位相差検鏡は普通の生物顕微鏡に位相差装置を取りつけることで可能となり,その使い方は一般の光学顕微鏡と比べて特に難しいことはない.しかし正しい使い方をしないと,位相差の効果を十分に発揮させることはできない.今回はNikon Optiphot顕微鏡に位相差装置を取りつけたもので,スライドグラスとカバーグラスを用いた標本を観察する場合を例にとり,その使い方を説明する.
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