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はじめに
中枢神経内にモルヒネと特異的に結合するオピエト受容体が存在しているという発見1)に続いて,生体内にもモルヒネ受容体に特異的に結合し,モルヒネ様の効果を有するペプチドが存在することが確認され,エンドルフィンendorphinと総称された2)。その後オピエト受容体にはμ,κ,δの3つの受容体が存在することが明らかになり3),これらと特異的に結合する内因性opioidpeptidesは5つのグループに分類されている4,5)。すなわち1) methionine—,leucine-enkephalinとしてよく知られているenkephalin類。2) enkephalinの前駆物質から由来すると信じられているdynorphins。3)α-,β-,γ-,δ-endorphin。4)β-casomorphinのように体液中にみらtるpronase抵抗性ペプチド。5)上記以外の間接的に作用するペプチドである。これらの中で呼吸調節との関係で最も研究されているのは,μおよびδ受容体に作用するenkephalinsとβ-endorphinである6)。これらのendorphinは,頸動脈体7,8),延髄9),迷走神経系10)に豊富に認められることや,オピエト受容体が中枢性呼吸調節機構の存在する延髄に特に多く認められること11)から,これらendorphinが,神経伝達物質および神経性あるいはホルモン性の調節物質として呼吸調節と密接な関係を有すると考えられている。近年さらにオピエト受容体の特異的antagonistであるnaloxoneを用いたendorphinsの生理学的作用の研究も一段と進み,呼吸調節におけるendorphinsの役割についての知見が,次第に増加している12)。ここではこれらの最近の基礎的および臨床的知見について述べる。
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