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特集 循環をめぐる論争
心不全に対してfirst choiceは利尿剤か強心剤か
Which should be the first choice in the treatment of congestive heart failure, diuretics or digitalis ?
佐藤 友英
1
Tomohide Sato
1
1帝京大学第2内科
1The 2nd Department of Internal Medicine, Teikyo University, School of Medicine
pp.247-251
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204608
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心不全は心疾患が呈する末期像で,心臓の収縮力が低下し,身体の需要に応じた十分量の血液を駆出できなくなった病的状態である。発症の緩急により急性および慢性心不全に分けられる。急性心不全は心筋梗塞による広範な心筋壊死や細菌性心内膜炎による高度の弁破壊などにより急激に生ずるため,慢性心不全の場合に比べて代償機転に乏しい。他方慢性心不全は長期にわたる心臓の過負荷に対して種々の代償機構,すなわちFrank-Starlingの法則に基づく心拍出量の維持,心臓の拡張と肥大,交感神経系活動の亢進による心筋収縮力や心拍数の増加,さらにレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を介する水やNaの貯留などを生じ心拍出量を維持するが,終局的には肺循環系や体循環系にうっ血をおこし,多彩な臨床症状が出現する。従って慢性心不全は一般に(慢性)うっ血性心不全とも呼ばれている。
急性心不全に関しては他の著者が言及されるため,本稿ではうっ血性心不全に対するfirst choiceの薬物は利尿剤かジギタリス剤かという論争について解説を行うことにする。
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