Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
慢性心不全に対する強心剤の内服投与による長期成績については,PROMISE1)・PICO2)・Vesnarinone Trial3)などの大規模臨床研究が行われてきたが,いずれの研究も6~12カ月の追跡期間において,強心剤投薬群はプラセボと比較して死亡率を増悪させたと報告されている.また,急性心不全に対しては,Silverら4)がNesiritide(以下hBNP)またはドブタミンを急性期に投薬(24~48時間投薬)してその長期予後について比較した結果,hBNP投薬群はドブタミン投薬群と比して有意に死亡率を低下させたと報告している(図1).
しかし,最近ではRUSSLAN Study5)やOPTIME-CHF Study6)においてPDEⅢ阻害剤の有効性が評価されている.つまり,急性心不全時にPDEIII阻害剤(ミルリノンまたはレボシメンダン)投薬後の長期成績(死亡率または死亡+再入院率)をプラセボと比較した結果,PDEⅢ阻害剤投薬群のほうが有意に長期予後を改善させたと報告された(ただし,OPTIME-CHF Studyでは非虚血性心不全でのみ長期予後の改善を認めた).
急性心不全の病態は心原性ショック・急性心原性肺水腫・慢性心不全の急性増悪の少なくとも3つの病態に分類され,心原性ショックに対しては強心剤が必須となることは明らかであるが,上記の報告のように急性心原性肺水腫や慢性心不全の急性増悪の病態に対して強心剤を積極的に投薬すべきか否かは未だ議論の余地がある.
このため,本稿では急性心原性肺水腫または慢性心不全の急性増悪に対する強心剤の適応と有効性について,カルペリチド(以下hANP)およびβ遮断剤に治療抵抗性を示す心不全症例を評価して,強心剤の重要性を述べる.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.