新薬の使い分け
心不全のときの利尿剤の使い分け
関 清
1
,
矢吹 壮
1
1東邦大第3内科
pp.698-701
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206573
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はじめに
近年,利尿剤の急速な発達により,心不全の治療の様相が大きく変わってきた.心筋の収縮不全に対しては精神的,肉体的安静による心臓への負担軽減と,強心配糖体による心収縮力増強が治療の中心である.さらに循環障害の結果生じる全身の物質代謝障害,なかんずく細胞外液のhomeostasisの障害に対しては,水および食塩の制限ならびに各種利尿剤使用が治療の中心となる.最近,人工透析が難治性心不全に適用されるようになり,今後の課題となっている.強心配糖体については,心不全の第一義的治療剤であることは周知のごとくであるが,臨床的には本剤が単に不全心のみならず,代償心あるいは正常心にも心筋収縮力の増強をきたすことが知られており,かつ強力な利尿剤の併用により,在来の飽和量,維持量の考えかたを変えなければならなくなっている.反面,利尿剤の連用による副作用の出現および難治性心不全の増加も問題となってきている.したがって,利尿剤の適応を熟知することが心不全治療にきわめて重要となってくる(表).
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