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特集 循環系薬剤の基礎と臨床
綜説
強心剤の基礎
The pharmacological basis of cardiotonics
貫 文三郎
1
Bunzaburo Nuki
1
1九州大学薬理学教室
1Department of Pharmcology, Faculty of Medicine, Kyushu University.
pp.304-310
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200746
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1.緒言
心臓障害を除きその機能を正常にかえす薬物は,広い意味から言えばすべて強心剤と云えないこともないが,しかし強心剤という時には心機能促進的に働らいて,その障害を除く薬物に限られる。したがつて心自働中枢,刺激伝導系の異常興奮を除いて心機能を正常にかえすキニジン,キニーネ,プロカインアミド又は冠血管の障害を除去して心機能障害を除く亜硝酸化合物,カリクレイン,ラカルノール,更に又心筋の異常興奮によりて起る心機能障害を除くフェノバルビタール,硫酸マグネシウムはそれ自身が心機能促進作用を有しないので,これらは強心剤とは云わない。又アミノコルジン,カンフル,カルジアゾールは中枢神経興奮により循環障害を除き,殊にアミノコルジン,カンフルは中枢性に心臓促進的に働らくので強心剤とも言えないこともないが,しかしそれらも心臓に対して直接興奮作用を呈せず,その主要なる作用は中枢神経興奮であるので,一般に中枢興奮剤と呼び,強心剤とは言わない。
したがつて強心剤と言えるものはジギタリス,ストロファンツス,夾竹桃,スチラ,オモト,スズラン,福寿草のような強心配糖体と,アドレナリン,エフェドリンのような交感神経興奮性アミン及びカフェイン,テオブロミン,テオフィリンのようなキサンチン誘導体,バリウム,カルシウムのようなアルカリ土金属である。
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