Japanese
English
綜説
肺疾患の病態発生—肺胞の傷害と修復
Mechanisms of injury and repair of the alveoli:pathogenesis of lung diseases
塩谷 寿美恵
1
,
辻 千鶴子
2
,
太田 保世
1
,
山林 一
1
Sumie Shioya
1
,
Chizuko Tsuji
2
,
Yasuyo Ohta
1
,
Hajime Yamabayashi
1
1東海大学医学部第2内科
2東海大学医学部第2生理
12nd Department of Internal Medicine, Tokai University School of Medicine
22nd Department of Physiology, Tokai University School of Medicine
pp.350-358
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204203
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近年,肺線維症,肺気腫,ARDS (Adult Respiratory Distress Syndrome)などの成因をめぐって,肺傷害と修復に関する肺胞レベルでの形態や生化学が活発に研究され,その概念が着々と組みあげられている1〜3)。
肺の障害は,どのような種類の障害が,どのような経路で加わり,どの部位をはじめに傷害するか,その障害がどの程度の強さで,どの位の期間加わるかによって病態が異なってくることが考えられる。肺胞レベルでのこれらの変化を考えると,ARDSでは,まず血管内皮細胞の傷害により,急性炎症に相当する滲出とそれに伴なう肺水腫がおこり,ついで修復機転としての肺の線維化がおこる。肺線維化は,急性炎症の修復機転,あるいは明,不明の軽微な障害因子の長期作用による慢性胞隔炎(増殖炎)が肺胞結合織の異常な増殖をひきおこしたものと考えられる。また,肺気腫は,何らかの障害因子が肺胞でのprotease,antiproteaseのバランスを乱し,肺胞壁結合織の破壊をひきおこしたものと考えられている。
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