巻頭言
「原因」か「結果」か
山崎 昇
1
1浜松医科大学第3内科
pp.349
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204202
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ある病態において血中または臓器である物質が増加している状態を観察した場合,その物質の増加がその病態の「原因」であるのか「結果」であるのかを明確にすることはかなり困難であり,多くの議論の未なお結論がえられていないものも多い。
心不全とカテコールアミンとの関係についても,うっ血性心不全においては心筋内カテコールアミンは減少し,血中カテコールアミン,尿中カテコールアミンが増加していることが知られている。われわれは大動脈狭窄家兎を用い,心不全の心筋内カテコールアミンを検討した結果,心筋内カテコールアミンの減少,THO (tyrosinhydroxylase)活性の低下を認め,心不全期の心筋カテコールアミンの減少はTHO活性の低下,すなわち合成障害が主因(「原因」)であろうと考えた。
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