Japanese
English
特集 肺気腫・肺線維症の病態発生メカニズム
MRからみた傷害肺の病態と分類
Classification of lung injury by proton magnetic resonance relaxation process
塩谷 壽美恵
1
,
灰田 宗孝
1
,
福崎 稔
3
,
辻 千鶴子
2
,
小野 容明
1
,
太田 保世
1
,
山林 一
1
Sumie Shioya
1
,
Munetaka Haida
1
,
Minoru Fukuzaki
3
,
Chizuko Tsuji
2
,
Yoshiaki Ono
1
,
Yasuyo Ohta
1
,
Hajime Yamabayashi
1
1東海大学医学部内科
2東海大学医学部第2生理
3珠光会研究所NMR室
1Department of Internal Medicine, Tokai Univ. School of Medicine
2Dept. of Physiology, Tokai Univ. School of Medicine
3Dept. of NMR, Jukokai Laboratory
pp.733-740
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204895
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核磁気共鳴法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)は,水分子を構成する水素核のスピンを通して水の振舞いを知ることのできる方法であり,生体組織を構成する生体高分子中に存在する水分子の動態をかなり鋭敏にとらえることができる。肺気腫,肺線維症の発生過程では,肺の組織構築に変化を来たしてくることから,肺組織を構成する細胞,間質での蛋白質,組織液の量的,質的変化を伴うものと考えられる。このような状態では,組織内での水のおかれた環境が変わることになり,この変化はNMR緩和時間に反映される。
NMR緩和時間には,励起された核スピンのエネルギーを格子に放出するときの時定数である,スピン格子緩和あるいは縦緩和時間:T1と,スピン同士でのエネルギーの移動の時定数である,スピン—スピン緩和あるいは横緩和時間:T2とがある。これらのパラメーターの変化が,組織のどのような変化に対応するのか現在のところ完全には明らかではない。生体組織のNMR研究は少なくはないが,その多くは悪性腫瘍と各種正常組織のT1に関するもので,炎症,線維化など他の種々病変時の緩和時間変化に関して,基礎的な検討はあまりなされていない。特にT2については,測定法がむずかしいこともあってデータが少ない1)。
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