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はじめに
肺気腫は,慢性気管支炎とともに,慢性閉塞性肺疾患(COPD)に分類され,終末細気管支より末梢の気腔が異常に拡大し,肺胞壁の破壊を伴うが,明らかな線維化は認められないと定義される1).COPDは近年増加傾向を示し,わが国では1996年の患者数は22万人で,1997年のCOPDによる死亡者は12,000人であるが,米国の患者数は1,4000万人とされ,重大な社会問題となっている.肺気腫の原因としてはα1-アンチトリプシン(α1-AT)欠損症や喫煙がよく知られているが,他にα1-アンチキモトリプシン欠損症,IgA欠損症なども肺気腫発症への関与が考えられる.2001年にNHLBI/WHOから公表された最新のガイドラインGOLD(GlobalInitiativeforChronic Obstructive Lung Disease)では,COPD患者を症状,スパイロメトリーに基づいてステージ分類し推奨される治療法を提示しているが,対症療法が主体であり,若年重症例では,肺移植も実施されている.
Tight skinマウス(Tskマウス)は,B10/D2系マウスから自然発生したマウスであり,生後間もなくコラーゲンの合成を伴った全身皮膚硬化が認められ,後の自己抗体産生などから,ヒト強皮症(SSc)のモデルマウスとされている.一方,肺においても,生後より気腫病変の進行が認められ肺気腫のモデルマウスとしても知られている2).また,その発症には,第2染色体上に存在するFibrillin-1遺伝子のdominant mutationが深く関与していると考えられている.肺気腫の発症は生後直後よりみられ,生後4日には軽度の,生後1カ月には明らかな肺気腫が認められ,以後,気腫病変はさらに進行する.このTskマウスを用いて,骨髄移植の肺気腫に対する効果を検討した.
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