呼と循ゼミナール
陽圧呼吸の作用—おもに循環系に対して(その7)
沼田 克雄
1
1横浜市立大学医学部麻酔科
pp.1240
発行日 1982年12月15日
Published Date 1982/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204132
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本稿(その2)で述べたCournandの共同実験者であるLausonは1946年に,深呼吸をすると左右両心室のstroke volumeが異ってくると発表した。深吸気時,transmural right ventricular filling Pressureが上昇して右室のstroke volumeが増加し,一方,左室のstroke volumeが減少するというのである。これがなぜおこるかを考える際,深吸気時に胸腔内陰圧の度が増して右心への静脈還流が増す一方,一過性に肺血管の血流がpoolされて左室のfilling pressureが減少するためとすれば説明がつき易いであろう。たしかに吸気努力時,つまりMüller maneuverをした時,左室内圧が低下するとした報告もある。ところがこの内圧の低下は,大気圧を基準とした時の所見であった。これでは内圧が低下したといっても,それは心の容積変化を反映しているとはいいがたい。容積変化を反映する圧は,transmural pressureとして捉えられなければならない。そこでRobothamら1)は犬の実験でこれを観察した。
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