呼と循ゼミナール
陽圧呼吸の作用—おもに循環系に対して(その1)
沼田 克雄
1
1横浜市立大学医学部麻酔科学教室
pp.150
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203926
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人工呼吸については、その知見の蓄積,よりすぐれたレスピレータの開発と普及など、ここ4半世紀の歩みを見ると実にめざましいものがある。とくに最近10年についての進歩は著るしい。これにともなって,臨床的なrespiratory careに関する良書が和洋ともに何冊かは世に出ている。
しかるに,これだけ普及している陽圧呼吸について,その施行時の病態生理ということになると,新知見の報告が相次いでいるにもかかわらず,不思議なくらいにこれをまとめあげたものにゆきあたらないのである。何故か。それはおそらく,陽圧呼吸とひとくちに言っても,これをどんなmodeであたえるか,被験者はヒトか動物か,覚醒時か全身麻酔下か,呼吸循環器系が正常か病的かなどによってその生体におこる反応は様々であり,おびただしい報告が集積され,相次いでいるにもかかわらず,その集大成が容易なことではないことに起因しているのであろう。
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