呼と循ゼミナール
陽圧呼吸の作用—おもに循環系に対して(その5)
沼田 克雄
1
1横浜市立大学医学部麻酔科
pp.1026
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204096
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陽圧呼吸が心拍出量減少を招くことの理由を,静脈還流減少や右室のfilling pressure減少に帰する説を前号までもっぱらとりあげてきた。今回からは多少これと異なる説をとりあげてみたい。
肺循環系においてはその血管の形状,内径などは肺のふくらみ方に応じて変ることが考えられる。一般に肺血管は,肺をふくらませる時,太い血管には周囲組織からの張力によりその内径を大きくするような力が働らき,細い血管にはこれをおしつぶすような力が働らくと考えられている。太い血管,細い血管を合せた全体としての肺血管抵抗は,肺のふくらみ方が機能的残気量レベルにある時にもっとも小さいといわれる。したがって肺に陽圧をかける,のみならずPEEPをかけるというようなことは,肺血管抵抗の増大をもたらすであろう。ここで,肺毛細血管については概念的にStarling resistor modelが考えられる。
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