特集 肺末梢領域の病像と病態
選択的気管支肺胞造影像と病理学的所見との対応
佐々木 英忠
1
,
井上 洋西
1
,
青木 徹
1
,
滝島 任
1
,
丹羽 隆
2
1東北大学医学部第1内科
2東北大学医療技術短期大学部病理学
pp.463-468
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203764
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
慢性閉塞性肺疾患の臨床的診断法として各種の方法が用いられているが1),なお確信のある方法は提案されていない。Burrows等2)は病理学的所見と臨床所見との対比を行い,今日広く用いられるようになった信頼性の高い臨床診断法を報告した。しかし,Burrows等の診断基準は1秒率55%以下または1秒量1.5l以下という重症例においてであり,軽症や中程度の閉塞性障害例にはあてはめることができない。
当教室から中村ら3)は新しい診断法として選択的肺胞造影法(Selective alveolo bronchography,SAB)を開発した。今日日本ではSABは広く用いられて臨床上有用である。しかし,SABにおいてみられる気道および肺胞像は,実は何をみているのか,またはどのような病理学的あるいは解剖学的所見に対応するのかということは証明されていない。肺胞像と言われていたものが,肺胞なのかどうか,私共は本研究において証明しようと試みたので報告する。また,SAB像を定量的に取り扱う方法についても提案した。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.