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気管支肺胞洗滌
安岡 劭
1
,
土居 裕幸
1
,
大串 文隆
1
,
中西 嘉巳
1
,
尾崎 敏夫
1
,
河野 知弘
1
1徳島大学医学部・第3内科
pp.518-532
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219681
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気管支肺胞洗滌の歴史と種類
気道一肺胞系は肺胞を末端とする閉鎖系であるため,この部にメディウムを注入し,これを回収する操作により,この部に生理的もしくは病的に局在する細胞や液性成分が比較的効率よく採取ないし洗滌されてくる.本来,気体の通路である気道に液体を注入すること自体が非生理的で,程度の差はあれ生体に不利に作用するため,この部を洗滌する試みは異端視される傾向にあったと考えられる.しかし,学問の進歩に伴い,この部の生理機能の解明や,疾患の診断や治療の目的で,種々の気道一肺胞系の洗滌法が積極的に実施されるようになった.
気道-肺胞系には,正常者においても生体防御的に働き,この部の病態発生の防止に役立っている成分や,肺胞の安定化に役立っている物質が存在している.これらは一括して気道液(respiratory tract fluid),あるいは気道分泌物(bronchial secretion),肺胞被覆層(alveolar lining layer)と呼ばれている.気道一肺胞系の疾患では,気道液や肺胞被覆層の量的,質的変動に加えて,この部に炎症一免疫担当細胞が出現し,喀痰,咳,呼吸困難などの臨床症状の原因になる場合が多い.
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