今月の主題 呼吸器と免疫・アレルギー
アレルギー性肺疾患の診断
気管支肺胞洗浄
泉 孝英
1
,
長井 苑子
1
,
竹内 実
1
,
渡辺 和彦
1
,
北市 正則
1
1京都大学結核胸部疾患研究所・内科第2
pp.1166-1171
発行日 1986年7月10日
Published Date 1986/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220441
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気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage,BAL)とは,気管支ファイバースコープを亜〜亜々区域気管支に楔入し,側管から,注射器を用いて生理的食塩水50ml程度の注入回収を反復する,あるいは,サイフォンの原理を応用して100ml程度の注入回収を反復することによって,通常,200〜300mlの生理的食塩水にて対象領域を洗浄する方法である.BALによって,まず,末梢気道,肺胞腔内の細胞成分,液性成分が採取され,次いで肺胞間質内の成分が採取される(図).
Reynolds(1974)によって開発されたBALは,肺感染症における起炎菌の決定,あるいは悪性腫瘍細胞の検出手段として用いられてはいたものの,主たる目的とするところは,サルコイドーシス,過敏性肺臓炎(hypersensitivity pneumonitis,HP),特発性間質性肺炎(idiopathic pulmonary fibrosis,IPF)などを中心とするびまん性肺疾患の病態生理解明であった.しかし,最近になって,各疾患ごとのBALによって得られる液性成分,細胞成分に関する知見が増加してきたこと,また,モノクローナル抗体を用いてマクロファージ,リンパ球サブセット測定が可能になってきたことによって,BALの診断学的意義が高まってきた.
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