呼と循ゼミナール
心筋虚血の早期診断について—(その5)心臓壁機能
田村 康二
1
1新潟大学医学部第1内科
pp.1300
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203475
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心筋虚血は心筋内に不均一に生じてくるのが特徴である。心臓のポンプとしての機能は特に心臓病の予後を判定するには重要なものである。しかし早期に心筋虚血を検出する問題となると局所の心筋の変化を検出することが心筋全体の変化の結果として出現してくるポンプ機能異常よりも必要となってくる。
ところで実験的成績から,今日では虚血によって生じてくる心臓壁の異常運動は心電図異常よりも先行して生じ,しかも特異的変化であることが認められている1,2)。その理由は不詳であるが,Ca++の変化,収縮蛋白の変化,高エネルギー燐酸の変化組織内pHの変化等によって心筋の壁運動異常が認織し易いのだろうと思われる。しかしながら虚血によって生じた組織学的変化と壁運動異常の相関は必ずしも同一ではないとされている。従って壁運動の異常は実際の虚血に伴う変化と厳密にはくい違いを生じてくると思われる。
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