呼と循ゼミナール
心筋虚血の早期診断について—(その3)心電図
田村 康二
1
1新潟大学第1内科
pp.1102
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203449
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心電図による心筋虚血の診断は最もよく用いられ発展してきている。
1.Holterモニター法(Holter):安静時12誘導心電図では心筋虚血の診断に当然限界がある。そこでHolterを施行してみると,まず患者の自覚症状と心電図変化の相関が安静時心電図よりも,一層明らかになってきた。また更に無症状の一過性の再分極異常の検出が可能となってきた。しかしここで新たに問題となってきた点は狭心痛がある時にHolterで心電図変化を同時に認めたのは患者全体の56%で残る44%にはECGで異常変化を認めなかった事である。この胸痛時における心電図の無変化群の説明を今後どうするかである。次の問題は無症状であっても一過性あるいは恒久性再分極異常を呈している例があった事である。心電図変化が自覚症状に先行して生じてくるとすればこの問題の例で一過性再分極異常を呈した例は原因はともかく心筋虚血が早期に検出された事になろう。しかし恒久性再分極異常は2次的な変化である事があり,心電図でのみ心筋虚血の有無を判定してゆくには限界がある。
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