呼と循ゼミナール
心筋虚血の早期診断について—(その1)冠血流量
田村 康二
1
1新潟大学医学部第1内科
pp.748
発行日 1979年7月15日
Published Date 1979/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203399
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ヒトの心筋虚血をその局所で早期に定量的に診断して治療しようとする目的でこれまでに研究を行ってきた。そこでこの目的に向って進んできたこれまでの課程に生じた問題点をまとめて以下の6回のシリーズで別々に述べてみたい。
まず心筋虚血とは何かと考えてみると心筋への酸素の需給の不均衡をいうとされている。この概念は分かったようで実はよく実証できない事なのである。従って心筋虚血は一体何を求めればその本質に到達するかという事がよく分からないことになる。上述の概念からするとまず心筋の酸素に対する需要を知る必要がある。しかし心筋の酸素需要を知る事は現在はできない。更に次に心筋への酸素の供給を知る必要がでてくる。そこでまずこの点を検討してみた(表1)。ヒトにおける冠血流量の測定ではDr. W. Ganzに協力して確立した方法論が持続的局所熱希釈法による冠静脈洞ならびに大心臓静脈血流量の測定法である1)。
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