呼と循ゼミナール
Cross-sectionalエコーによる乳頭筋機能不全症の診断(I)
小川 聡
1
1慶応義塾大学内科
pp.746-747
発行日 1979年7月15日
Published Date 1979/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203398
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乳頭筋機能不全により僧帽弁逆流が生ずる機序は,Burchらによって提唱された1,2)。すなわち,(1)乳頭筋のasynergyにより収縮期に僧帽弁に十分な張力が与えられない状態,あるいは逆に,(2)乳頭筋の収縮が僧帽弁に対して過剰のあるいは異常方向の張力を加える状態で,前者では弁は左房内に逸脱し,後者では弁は逆に左室内に牽引される。いずれも弁接合面積が低下するため僧帽弁逆流が生ずると理解されている。虚血に伴う乳頭筋の壊死,線維化が前者に,左室拡大,心室瘤に伴う僧帽弁逆流が後者の場合に相当する。
Mモードエコー法によるこの病態へのアプローチも報告されているが3〜5),いずれも非特異的な情報であり,確たる診断基準は出されていない6)。一方乳頭筋機能不全症では僧帽弁逸脱は見られないという記載もある6)。
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