Japanese
English
綜説
代謝臓器としての肺—肺の組織と細胞の代謝機能を中心として
Lung as a metabolic organ with special reference to the metabolic function of tissues and cells in the lung
北村 諭
1
Satoshi Kitamura
1
1東京大学医学部第3内科
13rd Dept. of Int. Med., Univ. of Tokyo
pp.464-469
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203358
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肺はガス交換をおこなう臓器であり,従ってこれまでの肺生理学の研究は主として呼吸運動とガス交換のメカニズム解明のみに向けられていたことは否めない事実といえよう。しかし肺には生理活性物質の作用を変化させる働きがあるとする画期的な研究成果は,Starling1)によりすでに1920年代に発表された。当時彼らは潟血された血液にはある種の毒性があり,それが肺により解毒されると考えた。その後25年を経てGaddumら2)がこれを追試し,その解毒作用は血液中に含有されているセロトニンの不活性化であることを証明した。さらに1950年代の中頃からClementsら3)により,肺生理学の分野に肺表面張力の問題が導入され,肺の表面活性物質をめぐって,肺の脂質代謝が一躍脚光を浴びるようになった。近年,肺はガス交換臓器であると同時に一種の代謝器官であるとする考え方さえ現われるようになった4)。
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