Japanese
English
原著
肺気腫の電解質代謝
Electrolyte metabolism in pulrnonary emphysema
笹本 浩
1
,
横山 剛
1
,
伊達 俊夫
1
,
佐藤 昭雄
1
,
高木 康
1
H. Sasamoto
1
1慶大内科
1Internal Medicine School of Medicine, Keio Univ.
pp.429-434
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200996
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肺の本来の目的は酸素の摂取および炭酸ガスの排出であるが,その機能を通じて生体の酸塩基平衡および電解質代謝に大きな影響をおよぼしていることは明らかである。従つて肺疾患とくに肺気腫のごときガス代謝障害を主とする慢性肺疾患においては,炭酸ガス蓄積(Hypercapnia)および低酸素血症(Anoxemia)が各種の電解質異常をおこすことは当然と考えられる。
呼吸性アシドーシスの際の電解質代謝に関しては,近年CO2吸入による実験的研究が行なわれ,血漿HCO3—の増加,血漿Cl濃度の減少,血漿NaおよびK濃度の増加傾向があることが知られているが臨床例における報告は少ない。一般的に呼吸性アシドーシスを呈するような状態においては常にAnoxiaを伴つているのが普通であり,したがつて肺疾患の電解質代謝はかなり複雑となつていることが考えられる。われわれは肺気腫を中心とする慢性肺疾患患者について血漿電解質の変動を検討する機会を得てHypercapniaおよびAno—xemiaとの関係を追求したのでここに報告する。
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