呼と循ゼミナール
Impedance pneumography (1)—Impedance pneumographyとは
吉良 枝郎
1
1自治医科大学呼吸器内科
pp.1176
発行日 1978年12月15日
Published Date 1978/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203285
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Spirometerを中心として各種の肺機能検査法が目ざましく発展している現時点にあって,Impedance pneumographyと称する新しい検査法を発展させる意義がどこにあるのかと考えられる方もおられるかもしれない。考えてみれば明らかであるがSpirometerで一回換気量,分時換気量などの簡便な諸量を計測しようとする場合でも被検査にマウスピースをはめ,ノーズクリップで鼻をはさむことが要求され,間質性肺炎,高度の肺気腫症,さらに気管支喘息の重積状態などの諸疾患で呼吸不全の状態にあり,呼吸管理を必要とする症例を対象とする場合には被検者の立場からは勿論,医師の側からいっても現状での肺機能検査の実施にきわめて逡巡させられる。呼吸数の多寡,浅い呼吸か否か,努力性呼吸か医師と看護婦の経時的観察からこの程度の情報は入手しえても,刻一刻の呼吸のパターン,呼吸波形,分時換気量,左右肺内に発生している不均等換気の経時的推移すら,現代の詳細な呼吸生理学の進歩という背景とは裏腹に十分に解析されえていない。すなわち最も肺生理学的情報の収集が必要とされる病態に対しては現状の肺機能検査の運用が制限されざるをえないというのが実状である。
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