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特集 心筋の電気生理
抗不整脈薬の作用機序研究の問題点
Problems in studying mechanisms of action of antiarrhythmic drugs
橋本 敬太郎
1
Keitaro Hashimoto
1
1新潟大学医学部薬理学教室
1Dept. of Pharmacology, Niigata Univ.
pp.981-988
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203261
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心臓の興奮発生,その異常である不整脈発生機序や抗不整脈薬の作用機序に興味を持ち,自分なりに仕事をして来て数年になるが,この分野がわかりにくいことは,今になっても同じである。Goodmann & Gilmanの薬理の教科書でも,Moe & Abildskov1)が抗不整脈薬の章で次のように述べている。「キニーネとキニジンに関する初めての観察以来,抗不整脈薬についての何千という実験的・臨床的な仕事が報告されている。この方面の研究者は,不整脈の発生機序さえわかったら,その異常を治すのに必要な特異的な作用を持った治療薬を選ぶことができるにちがいないと信じて来た。しかし不幸なことには,リエントリーか異所性自動能亢進かという不整脈発生機序を正確に診断するための知識は,発作性逆行性上室性頻脈と,多分心房粗動以外には,未だ充分であるとは言えない。心臓医が不整脈に出くわした場合,薬の選択は,未だ経験的に行われている。もしキニジンでだめだったら,プロカインアミドを使ってみるだろう。そしてそれもだめならリドカインかフェニトインのどれか,またはジギタリス,またはブレチリウムまたはプロプラノロールを使うだろう。もし一つの薬だけでうまくいかなかったら,同時に二つの薬を使うかもしれない。
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