呼と循ゼミナール
肺内水分量の測定(11)—肺リンパ動態(III)
佐川 弥之助
1
1京都大学胸部研臨床肺生理学部
pp.944
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203256
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前回は肺胞領域における水分の移動径路について述べた。そこで,今回は本論から少し横道にそれるが,リンパの流れのエネルギー源について少しふれてみたい。
肺胞領域においてはリズミカルな呼吸運動が肺胞表面張力,間質圧を周期的に変えて,水分をリンパ毛細管へ送りこむとされておりこの動きは受動的である。そして,従来からリンパ管内でのリンパもまた受動的に流れるとされていた。すなわち,リンパの推進力は主として末梢側のリンパ圧と呼吸運動,血管拍動,体動等受動的なものであるといわれてきた。しかし,技術的に無麻酔の健康な動物のリンパ動態の観察が可能になった現在では,この考え方は訂正されなければならないという説が有力となってきた。
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