今月の主題 循環器薬の使い方 '92
不整脈
抗不整脈薬による不整脈
山口 巖
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.112-113
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901325
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抗不整脈薬による不整脈の増悪や新たな不整脈の出現を催不整脈作用(proarrhythmic effects)という.最近報告された,アメリカにおけるCAST(The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)studyが,心筋梗塞後患者に対するVaughan Williams分類のクラスIc薬に属するencainideあるいはflecainideによる心室性期外収縮治療の結果,不整脈死の頻度と全死亡率のいずれもplacebo投与群より高率であったことを示したことから,抗不整脈薬の功罪にさらに関心が高まった感がある.しかし,quinidine,procainamide,disopyramideが開発された時点から,現在の催不整脈作用の報告がすでに散見されていた.Holter心電図やモニター心電図など最近の不整脈検出装置の開発や発展が,抗不整脈薬と催不整脈作用との関連を正確に捉えるのにも役立っている.
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