iatrosの壺
抗不整脈薬と催不整脈作用
篭島 充
1
1JA長野厚生連小諸厚生総合病院循環器内科
pp.40
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905407
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薬は両刃の剣である.誰でも知っていることだが,臨床の場で実感することは少ない.遭遇しても感覚が麻痺していて気づかないこともあるだろう.そんな私も循環器医の端くれ,抗不整脈薬の恐ろしさは身にしみている.
〈症例1〉75歳女性.陳旧性心筋梗塞に発作性心房細動を合併,動悸を訴えて入院.除細動を狙ってピルジカイニド1日150mgを投与した.翌日モニターを見てびっくり.レート40台の心室調律となり血圧も60台に低下している.カテコールアミンにもいっこうに反応しない.ピルジカイニドの催不整脈作用と陰性変力作用である.一時ペーシングとvolume負荷でなんとか乗り切ったが,冷や汗ものであった.
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