Japanese
English
綜説
MCLSの病因
Pathogenesis of Acute Febrile Muco-cutaneous Lymphnode Syndrome
上野 忠彦
1
,
松見 富士夫
1
Tadahiko Ueno
1
,
Fujio Matsumi
1
1自衛隊中央病院小児科
1Dept. of Pediatrics, The Central Hospital of Self-Defence Force
pp.773-779
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203095
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1967年川崎1)は,猩紅熱様の特異な落屑を呈し猩紅熱とは別個の独立疾患ないし症候群と考えられるある種の疾患に注目し,自験例50例について詳細な臨床的検討を加えて,これを急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群"Acute Febrile Muco-cutaneous Lymphnode Syndrome"(以下MCLSあるいは本症と略す)と命名した。
氏は当初,本症は予後良好なる自然治癒傾向の顕著な良性疾患であろうと考えていたが,実は判明しただけでも年間2〜3千例の発症があるなかに1〜2%の死亡率2,13)があることが明らかとなった。しかもその100例を越す死亡例の大多数が冠動脈瘤の突然の破裂を直接の死因としている2)ものであることが明らかとなり,にわかに関連諸学会の注目を集めるに至った。そして完治すると考えられた残りの症例においても20〜30%に冠動脈瘤の併発3,4,6)がみられ,60%以上に心筋炎,心外膜炎,全身各部位の動・静脈炎または動・静脈瘤その他の系統的心・血管系の病変5〜7)が認められ,ときにはリウマチ熱弁膜症類似の病変5),Moyamoya病様病変8)あるいは心筋梗塞等18,22,23)の後遺症を発症することがあることなどが知られている。
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