呼と循ゼミナール
受攻期の時相と幅
丹治 康浩
1
,
堀 原一
1
1東京女子医科大学理論外科
pp.884
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202964
- 有料閲覧
- 文献概要
心室細動発生のmechanismに関しては現在re-entry説が最も認められたものである。re-entry説を論ずる場合には心筋の伝導性の問題と興奮性の問題を分けなければならない。興奮性の問題を論ずる場合には心筋細胞一個一個の興奮性とともに各細胞間の興奮性のちがいに注目しなければならない。心筋の興奮性の回復は一様ではなく種々な因子により複雑に表現されるものである。特に心筋の再分極過程においては興奮性に大きなバラッキがみられる。またそれとともに伝導時間にも違いが生ずる。この再分極相は心電図T波に相当する。ゆえにT波のpeak近くに刺激が加えられると,ある細胞は興奮するが,いまだ興奮性を回復していない細胞は応答しない。また興奮した細胞群での興奮の伝導は非常に遅い。その結果re-entryが生じ期外収縮の連発より心室細動の発生へと進むのである。この心室細動が発生しやすい時期が受攻期であるが,受攻期とT波の関係はどうなのであろうか。図1は受攻期と心電図との関係を示したものである。受攻期を測定するにはまずテストパルスを心電図QRSより少し後方の絶対不応期の場所に落とし少しずつ後方に移動させていく相対不応期の時期で期外収縮が1個出現する。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.