特集 末梢気道の病変
Closing volume "phase IV volume"
西田 修実
1
,
長野 準
1広島大学医学部第2内科
pp.3-17
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202997
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I.低肺気量レベルでの呼吸とairway closure
Nunnら1)は,健康者を対象として低肺気量レベルで空気呼吸を行なわせると,28歳以下の若年者ではSao2は有意に低下しないけれども,老年者ではSao2はまもなく低下し,再度FRCレベルで安静換気させるとSao2はすぐ正常値に戻るという成績を得て,老年者でみられるこのような変化はreversible airway obstructionに基づくのであろうと考えた。更に彼らは,老年者にFRCレベルでO2を呼吸させた後,低肺気量レベルでO2呼吸を行なわせたところ,Pao2は著明に低下(Pao2が243mmHg低下した症例がある)し,その後呼吸をFRCレベルの安静換気に戻してもPao,は仲々上昇せず,20分経過後においても以前の値に戻らないという成績を得た。そしてこのような症例の胸部X線所見をみると,両側の上葉は全く正常であるが,両側下葉のbasal segmentにはatelectasisがみられ,また右中葉にもpartial atelectasisが認められたという。したがって老年者が低肺気量レベルて換気した時にPao2の低下する原因はatelectasisに基づくshuntによるのであろうと考えた。
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