Bedside Teaching
Closing Volume
天羽 敬祐
1
Keisuke Amaha
1
1横浜市立大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Yokohama City University School of Medicine
pp.861-866
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202533
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肺容量と肺の局所的な換気分布の関係が検討されるようになったのは,比較的最近のことである。1965年英国のNunnらは残気量(Residual Volume, RV)に近い肺容量レベルで酸素を呼吸させていると,肺胞—動脈血Po2,較差(A-aDO2)が著明に増大することを観察し,部分的な末梢気道の閉塞が,その原因であろうと考えた1)。その数年後,Sutherlandらは放射性同位元素Xeガスを使って,肺容量が全肺気量(total lung capacity,TLC)のとき肺胞は比較的均一な大きさにひろがっているが,肺容量の減少とともに下部の肺胞は上方のものに比べるとサイズが著しく小さくなることを観察した2)。そして彼らは肺容量がFRC以下に減少すると下部の小気道に閉塞(airway closure)が起こると考え,事実最大呼気位では約0.7lのtrapped gasが生ずることを明らかにした。
このように肺容量が減少するにつれ,下方に位置する肺胞への気道が閉塞されることが明らかにされてきたが,その一方では臨床的にそうした小気道の変化を把握する簡便な手段が見当らなかった。たとえばFEV1,MEFR,呼吸抵抗,肺容量など従来の呼吸機能検査では小気道の変化を発見しえないことはすでに多くの報告が,これを指摘している3)4)。
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