呼と循ゼミナール
呼吸生理研究と臨床(7)—Isobaric gas counterdiffusion syndrome
太田 保世
1
1東海大学医学部生理学
pp.804
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202955
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基礎および周辺の技術の進歩が人間をまったく新しい環境に立入ることを可能にしている。この新しい症候群は,そのような時に,予期されない現象が発生する可能性を示すのみでなく,その現象の科学的な解析,裏づけ実験,演繹などの差によって,異なる結論を導びきうる可能性など,きわめて示唆に富むものを汲み取れるので,紹介してみよう。
1971年にDukeのグループが,その後Pennのグループが,いずれも深度200 feet (7絶対気圧)以上のsimulation divingの際に,皮膚の症状を主とした異常の発生をみた。古くから,急速すぎる減圧の時の皮膚症状がskin bendsとして知られているが,上記の例は安定した圧力環境で発生しており,減圧症の1つとは考え難い。特徴的なことは,いずれの場合も,高圧のヘリウム・O2(O2分圧ではおよそ0.2気圧)環境で他のガス,たとえばN2あるいはネオンを吸入した時に症状の発生をみていることである。Lambertsenらによりisobaric gas counterdiffusion syndromeとして報告されたものは,耐えられないほどのpruritis,皮膚病巣,前庭機能障害を主徴とする。
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