呼と循ゼミナール
呼吸生理研究と臨床(8)—Ternary gas diffusion
太田 保世
1
1東海大学医学部生理学
pp.1050
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202990
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肺内気相,とくに肺胞気中でのガス拡散が,ガス運搬のメカニズムの1つとして,これまでの理解以上に重要であるらしいことは,いわゆる層状不均等Stratified inhomogeneityに関連した研究を通じて明らかにされつつある。今回はこの気相内ガス拡散についての基礎的問題の1つを取りあげてみた。
いうまでもなく,拡散とは「分子それ自体の熱力学的な力によって,化学的活性の高い場所から低い場所へ,あるいは分圧の高い場所から低い場所へと分子の移動する現象」である。ところが,気板のなかの拡散を考えると,それが必ずしも正しくはないという厄介な問題が生ずる。もっとも単純な気相内拡散は,AとBという2つのガスが1つの容器のなかに,相接して存在する場合であり,このような系はBinary gas diffusionの系といわれる。Binary系での拡散しやすさは, AとBという2つのガスの種類によって決まる。
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