画像診断 What sign?
Intramural gas
佐藤 豊
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1聖マリアンナ医科大学放射線科
pp.1047
発行日 1983年7月20日
Published Date 1983/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208388
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腸管壁に異常ガスが貯留する状態であり,正確な本態は不明であるが腸管内圧の亢進と腸管壁の脆弱化が原因であろうと考えられ,更にガス産生菌による腸壁の感染による場合もある.臨床的に自然消失をみる良性の経過をとるものと重篤疾患を示唆するものに大別される.良性のものは一般にpneumatosis cystoides intestinalisと称され,成人にみられ糜爛あるいは潰瘍などにより脆弱になつた腸管の内圧が亢進した場合,内腔ガスが壁内に嚢胞状に浸入するものと考えられる.白血病に対するステロイド治療中にみられるものは,腸壁のリンパ組織の急激な退縮により腸壁に内腔ガスが侵入するものと考えられ,また慢性閉塞性肺疾患では縦隔気腫が腹腔に進展し,更に胃あるいは結腸に壁内気腫を生ずる場合がある.悪性の経過をとるものでは,虚血性腸炎,白血病にみられ回盲部に好発する壊死性腸炎(typhlitis),新生児にみられるnecrotizing enterocolitisなどが挙げられ,これらの疾患では腸管穿孔の逼迫を示唆し,血管拡張剤動注あるいは開腹など積極的な治療の対象になる場合が多い.
放射線所見は特徴的であり,腸管壁に沿つて板状あるいは嚢胞状の透亮像が観察される.また壁内ガスが腸管膜静脈を経て門脈に到達し,肝門部から樹枝状に分岐する透亮像としてみられることもあり,一般に重篤な予後を示唆する所見とされる.
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