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講座
Subcutaneous Gas Pocketにおけるガス交換—(1)組織ガス分圧
Gas Exchange in the Subcutaneous Gas Pocket, :(1) Tissue Gas Tensions
太田 保世
1
,
中山 英明
1
,
横山 哲朗
1
Yasuyo Ohta
1
,
Hideaki Nakayama
1
,
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部笹本内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.877-882
発行日 1966年10月15日
Published Date 1966/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201672
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まえがき
臨床医が呼吸機能を論ずるにあたり,その注意が自ら肺におけるガス交換に集中しがちである。完成された肺機能検査の手技としては,steady state法なり,single breath法なりがあって,死腔量,拡散能力などを評価しているのであるが,これらをつきつめていくと結局は肺を1つのフクロとして見,あるいは条件の異なったフクロの集まりとして見ているわけである。ある場合にはそのフクロは外気と交通をもち,ある場合には交通していない。breath-holdした場合には後者,すなわち外界と交通のないフクロが体の中にできたとみなすことができる。ネズミの皮下に作ったgas pocketは一見臨床と無関係な研究のようにみえるかもしれないが,sub— cutaneous gas pocketにおけるガス交換の研究はbreath-holdした肺でのガス交換の研究に直結するものであり,そうであってほしいと願っている。さらに本文からご理解いただけるように,皮下につくったgas pocketは,組織におけるO2,CO2分圧,血流量,その他の知見をひきだすのにも役だつことが期待されている。
問題を生理学的に拡大していくと,健常なわれわれの体内にもgas pocketが自然に存在している。腸管内のガス腔,胃内ガスなどもその1例である。さらに患者で気胸を起こしたもの,巨大ブラ,気腹などもその1つであろう。
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