呼と循ゼミナール
心室中隔機能
友田 春夫
1
1東海大学内科
pp.764
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202949
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従来心行動に関する研究は主に左心室を主たる対象として行われ,心室中隔はその一部として扱われる傾向にあった。また中隔の位置する部位の特異性のため,在来の方法ではアプローチが困難であったこともあり,心室中隔そのものの機能については最近に至るまで十分検討されなかったといえよう。しかし最近超音波法により諸疾患における中隔運動に関する特異的な所見が続々と報告され,一方ではこれらの新知見が中隔の果している役割について,新たな疑問と混乱を提起しているように思われる。
さて関ら1)はイヌにおいては心室中隔は左右両心室にとって,重量・表面積ともほぼそれぞれの30%を占めるが,実験的に中隔の44%を切除しteflon feltで置換しても心機能には影響が認められず,中隔は左心室の収縮力に関与するより,むしろ心室腔を正常容積比で両心室に分ける役割りの方が重要であるとしている。しかしcineangiographyにより臨床例における中隔の運動を解析すると,正常例では心室中隔は主に左心室の駆血に相当関与しているように見える2)。一方,右室心筋を破壊しても右室機能低下の徴は出現しないことが以前から報告されているが,この際右室機能の大半を心室中隔が行なっているとする考えもある3)。
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