講座
Overdriving
杉本 恒明
1
Tsuneaki Sugimoto
1
1金沢大学医学部第1内科
1The First Department of Internal Medicine, School of Medicine, University of Kanazawa
pp.779-787
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202952
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本文でいうoverdrivingとは心臓を固有の自動性の頻度よりも速い頻度でdriveすることをいう。生理的な状態では下位の自動性中枢は洞結節によりoverdriveされているわけである。overdriveは人為的には心臓の電気的ペーシング,交感神経刺激,迷走神経遮断などといった形で行なわれ,overdrive効果を除くためには洞結節破壊,房室ブロックの作成,あるいは迷走神経刺激などが試みられる。overdriveはそれによって心臓の電気生理学的性質が変化することから,不整脈の病態解明に役立ち,また不整脈の診断・治療の目的で応用されているものである。
不整脈は異所性自動性亢進によるものとリエントリーによるものとに大別されるが,これに対してoverdriveは1)異所性自動性の抑制と促進,2)リエントリー路の新生と中絶,という一見相反する効果をもつ。本文ではまず動物実験におけるoverdriveの不整脈に対する効果を例示し,これにもとづいてoverdriveの臨床的意義を考えてみることにしたい。実験はすべてペントバルビタールナトリウムで麻酔したイヌでの急性実験である。
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