特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
病態の評価
左室収縮能
大手 信之
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学
pp.128-133
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103057
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心エコー図の非常に重要な役割の1つが心機能評価であり,結果は通常定量性のある数字データとして提供される.そのなかで,計測した心機能パラメータの正確度・再現性やその意義を十分理解していないと数字だけが一人歩きし,誤った病態評価につながってしまう可能性がある.さて,われわれは左室駆出率を求め,その値によって左室収縮能が良い,あるいは悪いと判断する.駆出率でみた左室収縮能は,はたして患者の臨床病態を十分に反映しているのであろうか.かなりの左室拡大がみられ,その駆出率が30%を割っていたとしても,ほとんど不自由もなく日常生活を送っている患者も多い.運動耐容能の制限には左室収縮能の低下よりも拡張能の低下が大きく関係するため,このような事実が観察されるのである.しかし,それでも左室収縮能は心疾患患者を治療していくうえで重要な情報であり,本稿では左室駆出率による収縮能評価の意味を解説し,その値の患者病態評価・治療への寄与について述べる.
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