ジュニアコース 仮定をお忘れなく
RIによる換気の不均等分布
桂 敏樹
1
Toshiki Katsura
1
1国立がんセンター内科
1Department of Internal Medicine, National Cancer Center
pp.683-690
発行日 1968年8月15日
Published Date 1968/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201929
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はじめに
肺のガス分布はHe, N2のようなinert gasを用いsingle breath test, multiple breath test により研究され,吸気は正常人でも肺内に均等に分布しないことが明らかにされてきたが,これらの方法では,肺内の各局所のガス濃度を測定できない欠点があった。その後bronchospirometry, lobar spirometryの開発により,一側肺および各肺葉の機能を別々に測定できるようになり,正常人でも肺の換気分布が局所によって異なり,体位変換時のガス分布の成績から,換気分布は重力と密接な関係のあることが推定された。しかしこの方法も,カテーテルを気道に挿入することによる影響を考慮しなければならないので,理想的なものとはいいがたい。その後radioactive gas (133Xe,15O2, C15O2, C15Oなど)が換気分布研究のために用いられたが,この方法はカテーテルの挿入を必要とせず,自然の状態で測定でき,肺の各局所のガス濃度を簡単に体外計測できるため,この方面の研究に新しい道を開いた。本稿では現在換気・血流分布測定のため広く用いられている133Xeによる正常人の換気分布について解説する。
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