呼と循ゼミナール
補助呼吸と調節呼吸
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.714
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202802
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慢性閉塞性肺疾患患者が急性増悪に陥いり,CO2ナルコーシスなどの危険がある時には,適正な肺胞換気を得るために,人工呼吸が必要となる。人工呼吸の適応について,山村の基準がかなり普及しているが,呼吸器専門医としては,個々の症例について換気機能,血液ガス所見,基礎疾患の経過,予後などの因子をを考慮して判断するのが良いと思う。
人工呼吸は補助呼吸と調節呼吸とに分けられる。補助呼吸は器械が患者の呼吸にタイミングを合わせ,吸気時に適正な換気量を与えるもので,吸気努力による気道内圧の低下がtriggerとなって吸気が始まる。調節呼吸は,患者の呼吸サイクルとは全く関係なく,器械が換気数から換気量までのすべてを調節する。したがって調節呼吸では,呼吸の制御能力は,器械ないしはそれを操作する者の計算の中にある。これに反して補助呼吸では,生体の換気制御能が未だ残っているから,前者と異って適切な換気と血液ガスとの相関性を得ることは複雑になる。慢性閉塞性肺疾患患者に対して,補助呼吸を行うか調節呼吸を行うかは,生体の制御性の問題がからんで論争の多いところである。
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