Japanese
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ジュニアコース
呼吸調節
Respiratory Regulation
侘美 好昭
1
Yoshiaki Takumi
1
1名古屋市立大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Nagoya City University Medical School
pp.573-580
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202282
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はじめに
呼吸調節,正確には肺換気量の調節には衆知の如く非常に多くの因子が複合して関係している。加えてこれらの因子間には密接な相互関係が在る場合が多く,一因子の変化はそれ自体の換気に及す影響と同時に他因子の変化を惹起しそれらの影響も重複して出現する為に問題を一層複雑なものとしている。さらに悪い事には,現象としては認知されている呼吸反射もその機序に関しては未だ不明な物が大部分で,それらの生理学的な意義も全く曖昧なままに留っている。しかし生理学成書にあるように多くの実験成績を提示して,総合的判断は各人の理解にまかせるのでは本稿の主旨に反するので,ここではsteadyな呼吸の変化を起こす因子のみに論点をしぼり,できるだけ簡単なシェーマにまとめるように努力してみた。controversialな面の多いこの問題をシェーマ化する事は必ずどこかに矛盾を生ずるが,疑問点があれば生理学成書を参考にして頂きたい。
換気量の調節は全て呼吸反射と呼ばれる呼吸中枢へのfeed back systemによって行なわれる。このsystemには中枢神経系の高次中枢からや,末梢の機械的な刺激の受容器からの反射を介する物と,中枢および末梢性の体液性変化に対する受容器を介する物の二つに大別できるが,いずれも何らかの神経機構を介する反射である事は共通している。
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